②歯科技工士とっての保険制度とは

 
②    現実は違った。

   この「7:3問題」は、技工料の支払いを一律に保証する仕組みではなかった。
現場では、その趣旨が十分に生かされていないという問題が続いてきた。

   それから、技工料は上がったのだろうか。
私の実感では、むしろ下落している。
長い年月がたっても、この問題が解決されない。異常な事態ではないだろうか。

そこで、少し昔を振り返ってみたい。

 

   歯科界の黄金時代

   私が技工学校を卒業した頃、確かに歯科界は黄金時代だった。
需要はある。しかし、供給が追いつかない。
患者は多く、診療所は足りない。待合室には行列ができた。

   必然的に、自費による補綴治療も多かった。
歯科技工士にとっても、自費技工が収入の柱で、保険技工は副収入という時代だった。
仕事は忙しかったが、それに見合う収入もあり、豊かさを実感できた。

    その背景には、高度経済成長と、歯科医師・歯科技工士の不足があった。
しかし、「自由市場という神」は、いつまでもその状態を許してはくれない。

   需要と供給は、市場の力によってバランスを取ろうとする。
そう、新設の歯科技工士養成校が増え、歯科技工士の供給も増えていった。

   ところが、時代は激変する。
1991年、バブル経済が崩壊した。
1988年の「7対3告示」から、わずか3年後のことだった。

   日本経済が大きく変わる中、歯科界も厳しい現実に直面した。
その影響は、立場の弱いところにしわ寄せされる。

   保険技工を中心とする技工業界では、価格競争が激しくなった。
そこへ大手ラボなどによる低価格競争も加わり、営業合戦が本格化した。

   残念ながら、歯科医師側も、そうした価格競争の恩恵を受けることになった。

 

 

③国民皆保険の陰で。につづく。